「移民文学の母」と称されるトルコ出身のドイツ語女性作家の短篇集
「母の舌」
トルコ人女性の「わたし」は、祖国の政治的混乱から逃れ、ドイツのベルリンで暮らして17年がたつ。
祖国での母との対話や祖母の姿、覚えている単語、友人が殺された記憶などを回想しつつ「わたし」は、どの瞬間に母の舌をなくしたのか、繰り返し自問する。
そして母語を取り戻すために、祖父の言葉であるアラビア語を学ぼうと決心する……
「祖父の舌」:「わたし」は失われた母語の手がかりを求め、ベルリンのアラビア書道の偉大な師、イブニ・アブドゥラーの門をたたく。
指導を受けるうちに互いに愛しあい、「わたし」はイブニ・アブドゥラーの魂を身内に宿すと、アラビア文字たちは「わたし」の身体の中に眠りこんだ獣たちを目覚めさせた……