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『別れを告げない』ハン・ガン

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済州島4.3事件を背景に、いま生きる力を取り戻そうとする女性の友人同士の再生の物語。

作家のキョンハは、虐殺に関する小説を執筆中に、何かを暗示するような悪夢を見るようになる。
ドキュメンタリー映画作家だった友人のインソンに相談し、短編映画の制作を約束した。
済州島出身のインソンは10代の頃、毎晩悪夢にうなされる母の姿に憎しみを募らせたが、済州島4・3事件を生き延びた事実を母から聞き、憎しみは消えていった。
後にインソンは島を出て働くが、認知症が進む母の介護のため島に戻り、看病の末に看取った。
キョンハと映画制作の約束をしたのは葬儀の時だ。
それから4年が過ぎても制作は進まず、私生活では家族や職を失い、遺書も書いていたキョンハのもとへ、インソンから「すぐ来て」とメールが届く。
病院で激痛に耐えて治療を受けていたインソンはキョンハに、済州島の家に行って鳥を助けてと頼む。
大雪の中、辿りついた家に幻のように現れたインソン。
キョンハは彼女が4年間ここで何をしていたかを知る。
インソンの母が命ある限り追い求めた真実への情熱も……
いま生きる力を取り戻そうとする女性同士が、歴史に埋もれた人々の激烈な記憶と痛みを受け止め、未来へつなぐ再生の物語。
フランスのメディシス賞、エミール・ギメ アジア文学賞受賞作。

訳者:斎藤真理子
出版社:白水社
発売日:2024.3
判型・製本:四六判
ページ数:320

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