ハリケーンの上陸が迫るニューヨーク、ブルックリン。
詩人である語り手の〝僕〟は前年に発表した小説デビュー作で思いもよらぬ評価を受けていた。
新たに『ニューヨーカー』誌に掲載された短編を組み込んで長編を書くと約束すれば、6桁強の原稿料が前払いでもらえるという。
その一方で、〝解離〟の可能性があると診断された〝僕〟の大動脈。
人工授精のために〝僕〟の精子を提供してほしいと言い出した親友の女性、アレックス。
ニューヨークの街を歩き回ったり、テキサス州マーファで芸術家としてレジデンス生活を送ったりしながら、〝僕〟は長編の構想を練る。
そして、自分がかつて雑誌を編集していたときに著名な詩人たちとの間で交わしたやり取りを偽造し、小説に取り込むことを思い付く……。