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『わるく思わないで』井口可奈
¥2,750
第11回現代短歌社賞受賞 「安定した不安定さ」とでも呼びたくなる文体にゆるぎない作家性を感じ、「みつけた」という確信を抱いた。 ——平岡直子 不適応の記号をなぞりながら、世界に対する〈わたし〉の負けを、むりやり勝ちへとひっくり返そうとする。 ——乾遥香 言葉自体がもつ自発的な跳躍力を十全に発揮させている。読者はそのエネルギーにただただ身を任せればよいのだ。 ——大辻隆弘 【収録5首】 洗濯機まわるエリーゼのためにかもしれない曲はほそながい川 さわらないようにしている仁丹をあなたはぐちゃぐちゃさわれてすごい 月おぼろあなたなに言ってるのって言われあきたよ水は透明 手をつたう水のわたしっぽくなさとわたしっぽさのあいだに桃が これからの杏仁豆腐どうでしょうすべてわたしに任せてみるのは 出版社:現代短歌社 発売日:2024.4 判型・製本:四六判変形 ページ数:204
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『別れを告げない』ハン・ガン
¥2,750
済州島4.3事件を背景に、いま生きる力を取り戻そうとする女性の友人同士の再生の物語。 作家のキョンハは、虐殺に関する小説を執筆中に、何かを暗示するような悪夢を見るようになる。 ドキュメンタリー映画作家だった友人のインソンに相談し、短編映画の制作を約束した。 済州島出身のインソンは10代の頃、毎晩悪夢にうなされる母の姿に憎しみを募らせたが、済州島4・3事件を生き延びた事実を母から聞き、憎しみは消えていった。 後にインソンは島を出て働くが、認知症が進む母の介護のため島に戻り、看病の末に看取った。 キョンハと映画制作の約束をしたのは葬儀の時だ。 それから4年が過ぎても制作は進まず、私生活では家族や職を失い、遺書も書いていたキョンハのもとへ、インソンから「すぐ来て」とメールが届く。 病院で激痛に耐えて治療を受けていたインソンはキョンハに、済州島の家に行って鳥を助けてと頼む。 大雪の中、辿りついた家に幻のように現れたインソン。 キョンハは彼女が4年間ここで何をしていたかを知る。 インソンの母が命ある限り追い求めた真実への情熱も…… いま生きる力を取り戻そうとする女性同士が、歴史に埋もれた人々の激烈な記憶と痛みを受け止め、未来へつなぐ再生の物語。 フランスのメディシス賞、エミール・ギメ アジア文学賞受賞作。 訳者:斎藤真理子 出版社:白水社 発売日:2024.3 判型・製本:四六判 ページ数:320
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『パッキパキ北京』綿矢りさ
¥1,595
SOLD OUT
味わい尽くしてやる、この都市のギラつきのすべてを。 コロナ禍の北京で単身赴任中の夫から、一緒に暮らそうと乞われた菖蒲(アヤメ)。 愛犬ペイペイを携えしぶしぶ中国に渡るが、「人生エンジョイ勢」を極める菖蒲、タダじゃ絶対に転ばない。 過酷な隔離期間も難なくクリアし、現地の高級料理から超絶ローカルフードまで食べまくり、極寒のなか新春お祭り騒ぎ「春節」を堪能する。 街のカオスすぎる交通事情の把握や、北京っ子たちの生態調査も欠かさない。 これぞ、貪欲駐妻ライフ! 北京を誰よりもフラットに「視察」する菖蒲がたどり着く境地とは……? 著者自身の中国滞在経験とその観察力が炸裂する、一気読み必至の“痛快フィールドワーク小説”! 出版社:集英社 発売日:2023.12 判型・製本:四六判変型 ページ数:152
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『無意識の正体』山竹伸二
¥2,310
人間の行動や思考の多くは無意識的なものである。 そのメカニズムを解明しようとする研究も少なくないが、そもそも無意識は私たちの生にとってどんな意味を持つのか、その本質を探究する。 出版社:河出書房新社 発売日:2024.4 判型・製本:四六判 ページ数:216
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『共感の正体』山竹伸二
¥2,310
いまや共感の時代。 だが、そもそも共感とは何か。 哲学史・心理学史に精通する著者が、自然科学の知見も参照しつつ、共感をめぐる思想の系譜を概説。成熟した共感のありようをも探究する。 私たちはなぜ、人を助けるのか? 「ケア」や「利他」に、共感は必要か? そもそも、共感とは何なのか? 共感の時代、共感力、反共感論、共感疲労…… 科学的にみるとどうか。 哲学はどう扱ってきたか。いま、どう考えればよいか。 ――現代社会のキーワード“共感”。 その本質を根っこから捉え直す。 出版社:河出書房新社 発売日:2022.3 判型・製本:四六判 ページ数:208
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『グリフィスの傷』千早茜
¥1,760
からだは傷みを忘れない――たとえ肌がなめらかさを取り戻そうとも。 「傷」をめぐる10の物語を通して「癒える」とは何かを問いかける、切々とした疼きとふくよかな余韻に満ちた短編小説集。 「みんな、皮膚の下に流れている赤を忘れて暮らしている」。ある日を境に、「私」は高校のクラスメイト全員から「存在しない者」とされてしまい――「竜舌蘭」 「傷が、いつの日かよみがえってあなたを壊してしまわないよう、わたしはずっと祈り続けます」。公園で「わたし」が「あなた」を見守る理由は――「グリフィスの傷」 「瞬きを、する。このまぶたに傷をつけてくれたひとのことをおもう」。「あたし」は「さやちゃん先生」をめがけて、渋谷の街を駆け抜ける――「まぶたの光」 ……ほか、からだに刻まれた傷を精緻にとらえた短編10作を収録。 出版社:集英社 発売日:2024.4 判型・製本:四六判 ページ数:200
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『しをかくうま』九段理江
¥1,650
第45回野間文芸新人賞受賞作。 疾走する想像力で注目を集める新芥川賞作家が描く、馬と人類の壮大な歴史をめぐる物語。 太古の時代。「乗れ!」という声に導かれて人が初めて馬に乗った日から、驚異の物語は始まる。この出逢いによって人は限りなく遠くまで移動できるようになった――人間を“今のような人間”にしたのは馬なのだ。 そこから人馬一体の歴史は現代まで脈々と続き、しかしいつしか人は己だけが賢い動物であるとの妄想に囚われてしまった。 現代で競馬実況を生業とする、馬を愛する「わたし」は、人類と馬との関係を取り戻すため、そして愛する牝馬<しをかくうま>号に近づくため、両者に起こったあらゆる歴史を学ぼうと「これまで存在したすべての牡馬」たる男を訪ねるのだった――。 出版社:文藝春秋 発売日:2024.3 判型・製本:四六判上製 ページ数:176
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『ニューワールド 凪良ゆうの世界』 凪良ゆう
¥1,650
二度の本屋大賞受賞、BL作品の世界的大ヒットを成した人気作家が語る、小説への思いとは? 対談やコミカライズ、全作品インタビューを1冊にまとめた、凪良ゆうを深く知るための必読書! 出版社:中央公論新社 発売日:2024.2 判型・製本:四六判 ページ数:176
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『幻日/木山の話』沼田真佑
¥2,090
コロナ禍を含め、4年の歳月をかけ書き継がれた、オーガニックな魅力の連作小説「木山」の話。 自然のまま、言葉の流れるまま、音楽に身を任せるように、耽溺し没入する小説体験。 自然への、生命への、名もなき人への「眼差し」。 人と動植物、水と土と空気、社会が影響し合って成り立つこの世界を生き、過ぎ行く時間をそのままに描き出す。 「早春」「入船」「遡」「ブラスト」「日なた」「朝霧の」「カタリナ」「ながれも」計八本収録。 出版社:講談社 発売日:2023.12 判型・製本:四六判 ページ数:208
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『獣の夜』森絵都
¥1,760
原因不明の歯痛に悩む私が訪れた不思議な歯医者(『太陽』)。 女ともだちをサプライズパーティに連れ出す予定が……(『獣の夜』)。 短編の名手である著者が、日常がぐらりと揺らぐ瞬間を、ときにつややかにときにユーモラスにつづった傑作短編集。 出版社:朝日新聞出版 発売日:2023.7 判型・製本:四六判上製 ページ数:256
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『猿の戴冠式』小砂川チト
¥1,760
いい子のかんむりは/ヒトにもらうものでなく/自分で/自分に/さずけるもの。 ある事件以降、引きこもっていたしふみはテレビ画面のなかに「おねえちゃん」を見つけ動植物園へ行くことになる。言葉を機械学習させられた過去のある類人猿ボノボ”シネノ”と邂逅し、魂をシンクロさせ交歓していく。 ――”わたしたちには、わたしたちだけに通じる最強のおまじないがある”。 ”女がいますぐ剥ぎ取りたいと思っているものといえば、それは〈人間の女の皮〉にちがいなかった。女は人間の〈ふり〉をして、ガラスの向こう側にたっている” ”女とシネノは同じだった。シネノのほうはそのふるまいこそ完璧ではあったけれど、それでも猿の〈ふり〉をして、あるいは猿の〈姿をとって〉、こちら側にいる” ねえ、なにもかもがいやなかんじなんでしょう。ちがう? 出版社:講談社 発売日:2024.1 判型・製本:四六判 ページ数:144
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『「くぐり抜け」の哲学』稲垣諭
¥2,200
触れるでも、素通りするでもなく、「くぐり抜け」てみる。 共感とも感情移入とも違う――それは、「他者」を理解するための新しい方法論。 現象学から文学、社会学、生物学、人類学、リハビリテーション医療、舞踏、ゲーム・プレイ、男性性―― 現代社会の諸相に向き合い続けることで浮かび上がる「弱さ」の正体。 個の強さが要請される今、他者とかかわり生き抜くための哲学的逍遥。 出版社:講談社 発売日:2024.2 判型・製本:四六判 ページ数:368
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『一生のお願い』高橋久美子
¥1,650
文筆活動10周年。 詩、小説、作詞、絵本翻訳と〈言葉〉の世界で活躍する著書が人気連載他、これまで様々な媒体に書いた文章をまとめた集大成的エッセイ集。 東京と愛媛、詩と作詞、農業、大好きな本と音楽。 高橋久美子が言葉を紡ぐとそこに特別な“日常”が生まれる。 “生きる”ことは日々を“作る”こと。 10年間の生活とそこにある創作の源流が詰まった1冊。 出版社:筑摩書房 発売日:2022.8 判型・製本:四六判 ページ数:240
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『ハリケーンの季節』フェルナンダ・メルチョール
¥3,410
魔女が死んだ。 鉄格子のある家にこもり、誰も本当の名を知らない。 村の男からは恐れられ、女からは頼られていた。 魔女は何者で、なぜ殺されたのか? 現代メキシコの村に吹き荒れる暴力の根源に迫り、世界の文学界に衝撃を与えたメキシコの新鋭による長篇小説 訳者:宇野和美 出版社:ハヤカワ書房 発売日:2023.12 ページ数:248
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『不便なコンビニ』キム・ホヨン
¥1,760
ソウルの下町。 亡き夫の遺産で建てたコンビニ「Always」を細々と営む元教師のヨムさんは、駅で無くした財布を拾ってくれたホームレスの男「独孤(トッコ)」と知り合う。 記憶を失い言葉はたどたどしいが、誠実そうな独孤を見込んだヨムさんは、彼を深夜シフトの店員として雇う。 近隣のコンビニに押され気味で品揃えが悪く、近所住人からは「不便なコンビニ」と呼ばれている「Always」の店員や客たちは、謎だらけで怪しげな独孤を警戒しつつ、一方でそれぞれに問題を抱えていた。 韓国でシリーズ累計150万部(2023年6月現在)、世界各国で出版され、舞台化、ドラマ化も進行中の大ベストセラー。 誰もが生きづらさを抱えて生きるコロナ前夜のソウルを舞台に、人と人との関わり、罪と赦しを優しくユーモラスに描いた、8篇からなるKヒーリング小説の傑作。 訳者:米津篤八 出版社:小学館 発売日:2023.6 判型・製本:四六判 ページ数:290
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『わたしに無害なひと』チェ・ウニョン
¥1,760
誰も傷つけたりしないと信じていた。 苦痛を与える人になりたくなかった。 ……だけど、あの頃の私は、まだ何も分かっていなかった。 あのとき言葉にできなかった想いがさまざまにあふれ出る。 もし時間を戻せるなら、あの瞬間に……。 第8回若い作家賞受賞作「あの夏」を含む、7作品を収録。 韓国文学の〈新しい魅力〉チェ・ウニョン、待望の最新短編集。 訳者:古川 綾子 出版社:亜紀書房 発売日:2020.4 判型・製本:四六判並製 ページ数:344
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『彼女の名前は』チョ・ナムジュ
¥1,760
『82年生まれ、キム・ジヨン』著者の次作短編集。「次の人」のために立ち上がる女性たち。 セクハラにあった女性が闘い続ける理由とは?地下2階の部屋に住む女子生徒の悩みとは?胸を打つ28編。 訳者:小山内園子、すんみ 出版社:筑摩書房 発売日:2020.9 判型・製本:四六判 ページ数:240
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『昔日の客』関口良雄
¥2,420
SOLD OUT
かつて東京大森にあった古書店「山王書房」の店主による文人や古本との出会いの日々。 夏葉社によって復刊された。昭和53年に刊行の「幻の名著」。 出版社:夏葉社 発売日:2010.10 ページ数:226
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『いちべついらい 田村和子さんのこと』 橋口幸子
¥1,870
詩人・田村隆一の妻、和子まつわる思い出を友人が綴った回想録。 出版社:夏葉社 発売日:2015.5 ページ数:156
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『美しい街』尾形亀之助
¥1,760
戦前の詩人、尾形亀之助の詩集。 出版社:夏葉社 発売日:2017.2 ページ数:171
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『神様のいる街』吉田篤弘
¥1,760
神戸と神保町、「神様のいる町」で過ごした人生を振り返る自伝的エッセイ。 出版社:夏葉社 発売日:2018.4 ページ数:126
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『喫茶店で松本隆さんから聞いたこと』山下賢二
¥1,540
京都左京区の本屋「ホホホ座」の山下賢二さんが、作詞家松本隆さんから聞いた話をまとめた一冊。 出版社:夏葉社 発売日:2021.7 ページ数:116
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『本屋で待つ』佐藤友則、島田潤一郎
¥1,760
広島県庄原市、山間の本屋「ウィー東城店」。 本を売るだけではなく、町のよろず屋としてお客様の要望に応え続けながら営んできたその記録を、ひとり出版社の夏葉社代表、島田潤一郎と振り返る。 出版社:夏葉社 発売日:2022.12 ページ数:208
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『人殺しは夕方やってきた』マルレーン・ハウスホーファー
¥2,310
山の中でたった一人、壮絶なサバイバル闘争を繰り広げる女性を描いた長篇小説『壁』で、世界を震撼させたマルレーン・ハウスホーファー。 多くのフェミニスト、作家たちに影響を与えた彼女の、知られざる短篇小説名作集がついに邦訳! 収録作はオーストリアの村で生まれ育ったマルレーン・ハウスホーファーの少女時代を彷彿させる。共に暮らした人々や動物たち……そして、平和な暮らしを一変させる戦争の影。 文学ムック「たべるのがおそい」vol.4収録の「さくらんぼ」「雌牛事件」「フォン・ガイエン氏の夜の出逢い」ほか、かなしみにユーモアをまぶした切なく心あたたまる作品集。 訳者:松永美穂 出版社:書肆侃侃房 発売日:2024.4 判型・製本:四六判・上製 ページ数:244